2020年、新型コロナウイルスの影響を受け、日本経済は深い調整局面に入りました。世界的に金利がゼロ近傍、あるいはマイナス圏に突入する中で、日本の多くの個人投資家は、株式市場の高いボラティリティに対して不安を抱き、「もっと安定した資産運用手段はないのか?」という切実な課題に直面しています。
こうした状況下で、弘智投資顧問株式会社の代表取締役であり、元ウォール街のベテランストラテジストである佐藤弘一氏は、今夏、自身の「キャッシュフローファースト」資産構成戦略を正式に発表しました。これは、日本国債および企業債ETFを分層的に組み合わせることで、ミドル層以上の富裕層や地方金融機関向けに年率3〜4%の安定収益を実現することを目指した提案で、市場関係者から高い関心と評価を集めています。
佐藤氏は、7月に開催されたオンラインのクローズドセミナーで次のように述べています。「日本のように長期にわたりゼロ金利、マイナス金利が続く環境下で絶対リターンを追求するのは非現実的です。重要なのは、リスクに強く、安定した分配が見込めるキャッシュフローシステムを築くことです。」
また、コロナ禍による経済低迷と、政府の大規模な財政支出との間にある張力が、従来はリスク回避の手段とされていた債券市場を、今や構造的な資産構成ツールとして再評価する転機になっていると分析しています。
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三層構造で支える、柔軟かつ堅牢な債券ポートフォリオ
—佐藤氏が設計した債券ETF戦略は、三層構造によって以下のように整理されています。
• ボトム層(約50%):
長期日本国債ETF(例:2621)を中心に据え、ポートフォリオ全体の安定性を確保。市場の変動に強い“土台”を築きます。
• ミドル層(約30%):
格付けの高い日本企業の社債ETF(例:1496、2511)を活用し、国債よりも高めのスプレッド収益を狙います。
• トップ層(約20%):
NASDAQ日本版のハイイールド社債ETFなどを選定し、配当利回りを強化。リスクを抑えつつ、インカム面での底上げを図ります。
この構成は、安全性と収益性をバランスよく両立し、資産の流動性を保ちながら安定した分配を求める中高年の顧客や、ボラティリティ管理が求められる中小金融機関にとって特に有効です。
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顧客事例:不安から安心へ
神奈川県在住、約5,000万円の金融資産を保有する60代の顧客を例にとると、2020年3月の株式市場暴落により、既存の株式投信ポートフォリオは一時20%超の損失を被りました。6月、佐藤氏のチームによって全面的に債券ETFの三層構成へと移行された結果、8月末時点で元本の回復と安定した四半期配当を実現しました。
「以前は安心=預金だと思っていましたが、今は債券ETFの分層運用の方が理にかなっていると感じています。流動性もあり、自分で操作できるのが良いですね」と、この顧客は弘智投資顧問のインタビューにて語っています。
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「堅実」は「保守的」ではない
佐藤氏は常に「堅実な投資は、必ずしも受動的・保守的ではない」と強調しています。
「市場が荒れる時こそ、キャッシュフローの重要性は増します。債券ETFは、デフレや市場心理の不安定さに強い、安定的な資産供給源なのです。」
将来的には、この三層構造をREITや海外優良債券ETFとも組み合わせ、より国際分散された戦略へと発展させていく計画も進行中です。また、弘智投資顧問では2020年秋より、地方金融機関向けに「債券ETF活用ガイド」研修講座を開講予定であり、現場のファイナンシャルアドバイザーの支援体制をさらに強化していく構えです。
この不確実性の時代において、佐藤弘一氏はウォール街で培ったグローバル視点と、日本市場に根ざした実践知識を融合し、投資家に「追いかけない投資でも持続的に利益を得られる道筋」を提示しています。
まさにその繰り返し口にする言葉があります。「本当の安心は、マーケットを予測することではなく、キャッシュフローを制することから始まる。」