Posted in

円安が150円台を突破、佐藤弘一氏が逆張りで輸出株を買い増し、年間純利益は19.3%を達成

2022年7月、世界の金融市場は激しい変動に見舞われていました。ロシア・ウクライナ戦争の長期化、世界的なエネルギー価格の高騰、米連邦準備制度による利上げ加速が続く一方、日銀は依然として超金融緩和政策を堅持し、結果として、円相場は対ドルで下落を続け、10月には150円の大台を割り込み、30年ぶりの安値を記録しました。

多くの投資家が様子見や悲観的な姿勢を取る中、弘智投資顧問株式会社の代表取締役・チーフマーケットアドバイザーである佐藤弘一氏は、いち早く輸出関連銘柄に着目しました。自動車、精密機器、電子部品の3セクターを軸にコアポートフォリオを構築し、2022年の年間純利益19.3%を達成し、TOPIXおよび東証一部指数を大きく上回るパフォーマンスを記録しました。

◆ マクロ認識:政策非対称下の構造的アービトラージ

2022年初頭から、FRBは積極的な利上げに踏み切る一方で、日銀はYCC(イールドカーブ・コントロール)政策を堅持しましたが、佐藤氏は年初の月次レポートで、「日銀は円安をある程度容認し、国内経済構造の転換と輸出企業の収益強化を図っている」と分析しました。

佐藤氏は、「通貨安が常に悪材料とは限らない」と強調し、「海外生産拠点を持ち、外貨建てで収益を上げている日本企業にとっては、円安が利益の押し上げ要因となり、国際競争力を強化する」と述べました。

そのため、ディフェンシブ資産への配分を避け、「強い輸出ロジック」「海外売上比率の高さ」「コスト転嫁力の強さ」を備えた企業への集中投資を実行。先行き不透明な中でも見通せる利益を狙いました。

◆ コア銘柄:輸出トリオによる主力ポートフォリオ

佐藤氏は、以下の3社を軸に据えた輸出株ポートフォリオを構築しました。

1. トヨタ自動車(7203)

世界トップクラスの生産・販売体制を誇るトヨタは、北米・欧州・東南アジアに安定した市場を持ちます。半導体不足が緩和し始めた2022年下半期に、佐藤氏は販売回復と為替差益による利益増加を見越して投資を強化しました。

「円が1%下落すると、トヨタの1株あたり利益は約3.5%増加します。電動化への移行期にあっても、トヨタは堅実な資本投資と強いキャッシュフローを維持しており、安全域の高い優良銘柄です」と佐藤氏が評価しました。

2. 京セラ(6971)

精密セラミックや半導体パッケージ技術を持ち、欧米とアジアでバランスの取れた顧客基盤を築く京セラ。売上の75%以上が海外という為替感応度の高い隠れたチャンピオンです。

佐藤氏は「輸出ロジックにおける中型成長株」としてポートフォリオの安定化に活用し、「過小評価された技術系キャッシュカウ」と呼びました。

3. 信越化学工業(4063)

世界最大のシリコンウェハー供給企業で、半導体やディスプレイ向けの製品を展開しています。米中の技術摩擦が激化する中で、信越は生産拠点の分散と現地化を進め、グローバルシェアを安定的に維持しています。

「この業界では、先行者優位と特許による参入障壁が高く、長期的な利益率を確保できます。円安はその追い風に過ぎません」と佐藤氏は指摘しました。

2022年、世界市場は全面安となり、米国株は三指数ともに15%超の下落をし、TOPIXも通年で約5.1%の下落を記録しました。こうした中で、佐藤氏は「リバランス重視・トレード軽視」の戦略でポートフォリオの変動リスクを抑えつつ、中期視点の投資テーマを貫徹しました。

チャートとファンダメンタルズの両面から持ち株の根拠を検証し、一部に短期国債ETFなどのヘッジポジションを加えることでキャッシュフローの安全性を確保し、結果として、年間純利益19.3%という堅調な成績を収めました。

現在、佐藤氏は一部の利益を確定し、内需関連や構造転換が期待される新興セクターへの注目を強めていますが、一貫して守り続けているのは次の信念です——「トレンドがチャンスを生み、アセットアロケーションがリターンを生む。論理に裏打ちされた投資こそ、時間という資産にふさわしい。」