ワクチン接種の進展と世界経済の正常化に伴い、2021年前半の日本株市場では、「ディフェンシブから攻めへ」というセクターローテーションの動きが鮮明になってきました。このような局面において、弘智投資顧問株式会社の代表取締役・チーフマーケットアドバイザーである佐藤弘一氏は、的確なマクロ視点とセクター判断を武器に、市場を上回るパフォーマンスを顧客にもたらしました。
本四半期、佐藤氏は「経済再始動」と「金利上昇期待」という2つの軸をもとに金融セクターを重点戦略領域と位置づけ、東京海上ホールディングスおよび第一生命ホールディングスという、損害保険・生命保険の二大柱に注目し、TOPIX指数が同期に6.4%のリターンだったのに対し、佐藤氏の金融テーマポートフォリオは16.3%の収益を記録し、市場を約10ポイント上回る際立った成果を残しました。
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金利とバリュエーション──金融セクター「価値回帰」のタイミング到来
佐藤氏は3月の投資レポートにおいて、2021年を「抑圧されてきたバリュー株の再評価元年」と定義しました。その中でも、金融セクターは長期的な低金利と規制圧力によって著しく割安な水準に放置されていると分析しました。
「市場は常に、今ではなく12ヶ月先の利益反転を先取りして動きます。金利上昇はもはやネガティブ要因ではなく、金融株の評価見直しを促すトリガーです。」
米国債利回りの上昇と世界的なインフレ期待の高まりを背景に、日本の長期金利も徐々に上昇余地が生まれつつあり、これが利ザヤ収益が鍵となる保険・銀行株に直接的な追い風となっています。
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銘柄選定──財務の健全性と株主還元力が鍵
数ある金融株の中でも、佐藤氏が東京海上と第一生命を選んだ背景には、財務・ガバナンス・収益安定性を重視した一貫したスクリーニングロジックがあります。
■ 東京海上ホールディングス
日本最大級の損害保険会社であり、海外展開が進んでいることに加え、9%超の安定したROE、強固なバランスシート、株主還元の実績により、保守的な投資家にも高く評価されています。
特に、米国子会社の好調な業績が親会社全体の業績をけん引し、本ラリーのけん引役となりました。
■ 第一生命ホールディングス
低金利環境でも高い運用収益を維持し、広範な海外投資ネットワークを保有。2021年の資産価格回復局面においては、運用資産の評価益が同業他社を大きく上回る成果を示しました。
また、両社ともに高い配当利回り(3.5〜4.2%)と自社株買いの継続的実施を通じて、中長期投資家にとっての魅力をさらに高めています。
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日本金融セクターの「第二の春」?
一部の投資家の中には、「日本の金融業界には成長余地が少ない」との懸念も根強く残っています。
しかし佐藤氏は、「成熟産業であっても、価格と期待値のギャップに投資妙味は宿る」と語ります。
「日本の金融業界は守りの安定から変化の中の安定へと進化しており、今後は中長期資産配分の対象として改めて注目すべきです。」
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投資とは、「確実性」を見つけ出すこと
佐藤氏は一貫して「投資は流行を追うものではなく、収益の確実性を掴みにいく行為である」と強調しています。
テーマが目まぐるしく移り変わる不安定な市場環境において、安定的かつ持続可能なポートフォリオを構築するには、タイミングだけでなく、マクロ理解と構造的な戦略構築能力が問われる時代だといえます。
現在、弘智投資顧問の複数の顧客口座では、東京海上と第一生命がコア資産として組み込まれ、「ポスト・コロナ時代」における安定的なキャッシュフロー源かつ守りと成長”
の両立銘柄として位置づけられています。
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ウォール街で培ったグローバルな知見と、帰国後に積み重ねた日本市場での実践経験。
佐藤弘一氏は、その両者を掛け合わせながら、数字と先見性をもって日本の投資家に論理と温度のある資産運用の視点を提供し続けています。
「変化が最大の時代だからこそ、もっとも安定した土台に投資すべきです」──これこそが、金融市場に向けた「チャートの哲学者」佐藤氏の、変わらぬ信念なのです。