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「巣ごもり経済」の恩恵が爆発、佐藤弘一氏が任天堂に集中投資し、第4四半期で31.7%のリターンを達成

2020年、新型コロナウイルスの世界的拡大は人々の生活様式を一変させると同時に、グローバル資本市場における投資ロジックも静かに書き換えていきました。実体経済が停滞し、移動が制限される中で、「巣ごもり経済」の背後にある構造的な投資機会をいち早く見抜くことが、世界中のストラテジストにとって重要な課題となったのです。

このような環境下で、日本の資産運用業界を牽引するベテラン戦略家・佐藤弘一氏は、今回もまた市場の一歩先を読み、的確なポジションを構築されました。元ウォール街で日本株チーフストラテジストとして活躍し、現在は弘智投資顧問株式会社の代表取締役を務める佐藤氏は、2020年第3四半期末において、「巣ごもり経済」を象徴する銘柄として任天堂に注目しました。自らの複数のモデルポートフォリオの中核に据え、第4四半期には31.7%のリターンを実現し、市場の注目を再び集めました。

巣ごもり経済──危機の中の新たな成長エンジン

「人間の行動は止まりません。変わるのは行動の場所です。巣ごもり経済は一時的なブームではなく、消費習慣の構造的な再編成なのです」

9月のオンラインセミナーにて、佐藤氏はこう分析しました。

コロナの影響で、世界中の都市がロックダウンされる中、家庭内での娯楽、オンラインコミュニケーション、デジタル消費の需要が一気に拡大しました。中でも任天堂のSwitch本体と対応ソフトの販売は急増し、『あつまれ どうぶつの森』などのヒット作が家庭内の日常的なエンタメ必需品として定着したことは記憶に新しいところです。

任天堂──ブランド力・供給力・ユーザー粘着性の三重の堀

佐藤氏が任天堂を強く評価する理由は、単に四半期の業績数字ではなく、その長期的なブランド価値・販売力・ユーザー基盤にあります。

• ブランド信頼と高いユーザー定着性

長年にわたり愛されるIP(知的財産)を多数保有しており、ゲームのライフサイクルは業界平均を大きく上回っています。

• 自社開発・自社販売による価格支配力

ハードとソフトを一体で提供するビジネスモデルにより、利幅が確保されており、供給制約下でも価格崩壊を防ぐことができます。

• 拡張性のあるプロダクト戦略

Switchはファミリー向けの共有端末としても、将来のクラウドゲーム対応機としても成長余地が高く、「ポストコロナ時代」においても継続的な需要が見込まれます。

佐藤氏は2020年9月以降、任天堂株を「日本コア成長ポートフォリオ」の中で30%超まで増配し、その四半期最大のポジションとしました。結果、当該銘柄はリターン面だけでなく、低ボラティリティを維持しながら着実な成長をもたらす「安心と力強さを兼ね備えたエンジン」として多くの顧客から支持されています。

投資哲学──マクロ洞察から個別株を選ぶ

佐藤氏は常に「テーマ主導・アセット重視・個別株はその結果」という明確な投資原則を掲げており、短期的なテクニカルチャートよりもマクロ環境の変化や人間行動の進化に注目して投資判断を下しています。

「投資の本質は、生活の変化を先回りして捉えることです」

――10月の『東洋経済』のコラムでも、佐藤氏はこのように綴っています。

「コロナは黒鳥ではなく、加速装置です。5年かけて起こるはずだった生活のデジタル化が、1年で一気に進みました。」

このような日常の変化から投資テーマを導き出す思考法こそ、佐藤氏が多くの投資家から支持される理由のひとつです。高度に専門的でありながら、一般の方にも分かりやすく、「生活と投資」の橋渡しをしている点が、他のアナリストとは一線を画しています。

展望──「巣ごもり経済2.0」と中長期戦略

2021年以降、「ワクチン経済」や「経済再開」が進むとの期待が広がる中でも、佐藤氏は関連ポジションを安易に手放すつもりはないと明言しています。

むしろ、最新の月次レポートにおいて「巣ごもり経済2.0」という新たな概念を提示しました。

「家庭内エンタメ・オンラインコミュニケーション・デジタル消費が日常化した今、任天堂のような企業は、単なる物販からプラットフォーム型収益モデルへと進化します。新たな利益構造が今まさに形成されつつあるのです。」

今後は、任天堂のクラウドゲーム展開、サブスクリプション型サービスの収益化、IPライセンス事業の拡張といった中長期的要素にも注目していくとのことです。

激動の2020年において、佐藤弘一氏は一貫した冷静な分析と鋭い直感で、「巣ごもり経済」という新たな成長領域を見事に捉え、顧客に確かな利益と信頼をもたらしました。任天堂という一社の背後に見えるのは、単なる成長ストーリーではなく、生活の変化と市場の進化をつなぐ深い洞察そのものでした。

そして、佐藤氏がよく口にする一言は、今回もその本質を突いています。

「市場とは、未来を予測する場ではなく、いまを理解する場所です。」