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パンデミック発生の渦中、佐藤弘一氏が日本へ帰国。医療ETFと生活必需品株へ戦略転換し、年間リターン13%を達成

2020年春、新型コロナウイルスの突如としての世界的拡大により、市場はかつてないほどの混乱に見舞われました。米国の主要株価指数は短期間に相次ぐ「サーキットブレーカー」による急落を経験し、日経平均株価も一時30%近く下落したました。グローバル投資家の信頼は一気に崩壊寸前にまで追い込まれました。

まさにこの混乱の最中、ウォール街で20年以上の実績を積み上げてきた投資アドバイザー・佐藤弘一氏は、日本への本格的な帰国を決断されました。日本市場の長期的な価値を再評価し、同時に個人向け投資顧問事業への転身を本格始動されたのです。

当時、佐藤氏は冷静かつ的確な視点で、パンデミック下における資産価格の再構築プロセスを注視していました。「あらゆる恐慌は、市場心理の極端化がもたらすものです。本物のプロフェッショナルは、混沌の中からチャンスを見出すべきです」と語り、世界市場の構造変化に対する深い理解をもとに、今回の危機が人々の消費行動と資本の選好に大きな転換をもたらすと直感的に判断されました。

「ボラティリティの上昇とリスク回避志向が並存する中、テクノロジーと医療が両輪となり、安定したキャッシュフローを持つ生活関連企業が避難先になる」との見解を示されました。

帰国後、佐藤氏は迅速にポートフォリオの再構築を実行し、輸出依存型銘柄の保有比率を大幅に引き下げる一方で、医療・製薬・生活必需品関連の個別株およびETFの組み入れを積極的に進められました。主な構成銘柄には、東証の医療指数に連動するETF、防疫用品やワクチン開発に携わる中堅製薬企業、日本国内の大手スーパーや日用品メーカーなどが含まれております。

特筆すべきは、3月下旬にはすでにマスクや体温計などの製造で知られる企業の株式を積極的に買い増しされていた点であり、これらは4月から6月にかけて株価が倍増しました。また、保有する生活必需品関連ETFも、市場が回復に転じた初期段階から堅調な上昇を見せ、高ボラティリティ銘柄が多い中で希少なプラスパフォーマンスを記録しました。

ポートフォリオ構築の基本方針として、佐藤氏は「ディフェンシブ性」と「キャッシュフローの安定性」という2本柱を掲げられています。「不確実性が高まる局面では、防御的な姿勢が不可欠である一方で、構造的成長の兆しも見逃してはなりません」と述べられ、業界の構造論をベースにした選定、流動性の高さを重視した構成、そしてリスク回避を中核とする資産設計を実践されました。個別銘柄に偏らないよう、ETFを活用してリスク分散にも配慮されています。

2020年12月時点において、佐藤氏の中核戦略である医療・生活必需品セクターに特化したポートフォリオは、年率リターン13.1%を達成し、同期間の東証株価指数(TOPIX)を大きく上回る成果を上げました。このポートフォリオは、急落局面では資産の安定性を保ち、年後半の相場回復時にはしっかりと収益を積み重ねるという「守りと攻めの両立」を実現しています。

また、この時期に佐藤氏は「弘智投資顧問株式会社」を正式に設立し、「誰もが理解できる投資ロジックの提供」を理念として掲げました。『東洋経済』とのインタビューでは、「パンデミックは世界中の投資家にリスクの本質を再認識させ、日本市場にも歴史的な再評価のチャンスをもたらしました。私が日本に戻ったのは、選択というより時代の呼びかけでした」と語っておられます。

現在、佐藤氏はウォール街で培われた経験を、日本の投資家のための実践知へと昇華させるべく活動を展開されています。人間心理の揺れをチャートで読み解き、構造的な成長機会をデータで見極める――ウォール街で活躍したかつてのチーフストラテジストが、いま日本の投資文化に新たな問いを投げかけているのです。